みなさま、こんにちは。
文化財構造計画の冨永です。
6月30日にブータンから帰国しました。ブータンではネットの状況が悪いことと夜になかなか作業ができずにあまり投稿できませんでした。ただ、あと少しブータンについて書きたいと思います。
多くの方が、幸せの国ブータンというイメージをお持ちです。国王陛下が来られたこともあり、国の存在と“幸せの国”ということだけはみなご存じのようです。ブータンがなぜ幸せなのか?現地に暮らす日本人に話を聞いた話を書きたいと思います。
その方のお話を聞いているとブータン人が幸せである秘訣は次のふたつのようです。
① 皆が自分優先であること
② 他人の面子を大切にすること
これだけではよく分かりませんね。少し詳細に説明したいと思います。
日本でも仕事よりも個人を優先する人はいます。けれども多くの日本人は自分が休むと他人に迷惑がかかるとか、納期が間に合わないと残業をしないといけないとか、他人や周りの都合にどうしても左右されがちですよね。でもブータンでは迷いなく個人の都合を優先させるそうです。日本にもそういう人はしばしば見かけます。しかし、ブータン人の場合は、全員がそうであるというところが日本とは異なります。
みなが自分の都合しか考えないとすれば、自分の都合を優先させても誰も責めません。それがあたり前なのですから。仕事より家の都合を優先する。誰にも仕事を引き継がず突然転職する。別に誰も何とも思いません。自分も同じなのですから。
自分と周囲の状況での優先順位の葛藤が全くないのですから、悩みは減りますね。これが幸せの理由その1だそうです。
次に他人の面子を大切にするということですが、これは日本人には少し理解しにくい概念なので、ある事例をまずお話します。
ブータンは切手が有名なのである外国人が郵便局に記念切手を買いにいったそうです。そこで郵便局員には今はないから来週に来てほしいと言われました。そこで翌週に行くと切手はまだなく、来週には入るとのことでした。そこで、さらにその翌週にも行きますが、まだ切手はありません。その外国人は嘘をつく郵便局員に怒って、郵便局員の上司に話をしたいと言ったそうです。結局、上司と話をすることができたのですが、その上司には次のように言われたそうです。「あなたのしたことはその郵便局員の面子を潰すことだ。こんなことをブータンですることは許されない。あなたはブータンに住む資格はない。」
出来ないことを約束するのは不誠実と日本では考えますが、ブータン的な考え方だと出来ないことをできるということも相手への気遣いなのだそうです。相手のことを気遣い、相手の要望に添った答えをする。ただし、結果としてできなくても要望した側は、そのひとも努力したけどできなかったという気遣いをして、相手を責めない。これがブータン流なのです。
この考え方は、日本人にはあまり理解しがたい論理ですね。それが気遣いと言われればそうかもしれませんが・・。結論として、要望されたことができなくても相手が配慮してくれるのですから、何かを任せれてもプレッシャーやストレスを感じることはないです。これが幸せの理由その2です。
みなさま、幸せの国ブータンはいかがでしょうか。聞いた話を元にしているので、ディテールやニュアンスの違いはあるかもしれませんが、大筋はこのようなことでした。
確かに幸せそうではあるのですが・・・・それで社会は大丈夫なんですかね?
でも、そんなことを考えないのが、ブータン流の幸せなのでしょう。
ブータンの男性、女性、お坊さん(石田香澄氏撮影)