犬殿

耐震・構造設計のことなら株式会社 文化財構造計画

株式会社 文化財構造計画

私たちにできること

 私たちは、文化財建造物の安全性に関する問題や保存活用について、たくさんの事例について関わってきました。その技術と経験を種として、みなさまの関わる文化財建造物の保存と活用にとってもっとも良い方法を、みなさまと共に考えることが、私たちにできることです。また、その裏付けとなる知識や技術は、通常の建築物の設計技術を踏まえた上のものですので、新築建築物の構造設計を行うこともできます。

文化財建造物の構造業務
 文化財建造物の構造性能に関する調査や向上措置に関する業務を行います。具体的な作業内容としては、下記のとおりです。

耐震診断予備調査
 目視によって建物の構造的な特徴を把握し、耐震対策を行うための計画を策定します。具体的には今後の構造調査計画、耐震診断の適切な解析方法の判断、診断・補強案策定等の工程と検討費用の算出などを行います。
構造調査
 耐震診断を行うにあたり、建造物の構造特性を把握するための調査です。構造上重要な躯体の形状や構成、物理的特性の把握や、建物の地盤に関する調査などが主な内容となります。たとえば、煉瓦造建造物についてであれば、軸組図作成、基礎形状の把握、煉瓦の材料試験、組積体の要素試験、地盤調査などが必要と考えられる事項になります。
簡易耐震診断
 本格的な耐震診断を行う前に、簡易に耐震性能や構造体の状態を調査します。本診断では、簡易な検討であるため、補強案が過剰なものになってしまう可能性がありますので、補強案の策定までは行えません。ただ、少額の費用で本格的な診断を行う前に建物が抱えている問題点を把握することができます。
耐震診断・構造診断
 建物が必要とされる耐震性能を保有しているかどうかの確認を行います。構造調査の結果をもとに構造解析を行い、地震時の建物の挙動を確認して安全性を判断します。構造解析の方法には、許容応力度設計法や限界耐力計算、時刻歴応答解析など、様々な方法がありますが、建物の構造によって適した解析方法が異なります。私たちは、建物のどの部材がどのように変形するのかが判るように詳細なモデルでの解析を行います。
 また、地震に対する対策だけでなく、台風などの大きな風に対する検討や、床の積載重量に対する検討も必要に応じて行う必要があります。
 解析の結果で建物が安全かどうかの判断は、どれだけの安全性を要求するかによって変わります。どの程度の安全性にするかについては、建物の責任者である所有者や管理者の方と協議をして決めることになります。
構造補強案策定・補強設計/監理
 耐震診断などで必要とされる構造性能を保有していなかった場合の対策として、構造補強を行います。文化財建造物においては、文化財的な価値に配慮をしながら補強案を検討する必要があります。また、補強案の策定においては、文化財建造物の価値を多角的に判断し、複数のアプローチでの補強計画を策定し、補強案を吟味します。
 補強の設計においては、文化財建造物の部材と補強の取り付きには十分注意して、必要最小限度の補強を行うよう検討を行います。

文化財建造物の保存活用計画策定業務
 保存活用計画策定は、文化財建造物の保存・管理・活用をどのように行っていくかを考え、各方針を定めます。その内容は文化庁が定める『重要文化財(建造物)保存活用計画指針』(平成11年)に沿って策定します。指針に記載されている計画書の構成は以下のとおりです。

第1章 計画の概要
第2章 保存管理計画
第3章 環境保全計画
第4章 防災計画
第5章 活用計画
第6章 保護に係る諸手続

 以上のような構成に沿って作成していきますが、建物毎に抱えている事情がことなりますので、指針から逸脱しない程度に追加等を行っていきます。
 また、計画策定で最も重要なことは、その建物のなにが重要でなにを護っていかなければならないかを判断するところです。それを見極める作業のひとつとして、各部屋の部材・仕様の基準設定を行い、さらにその部屋全体の基準設定を行って、部屋毎の方針を定めていきます。そのことにより活用計画や耐震補強などを実施する際も手をかけられる場所とかけてはいけない場所や方法を判断しやすくなります。
 以上のように建物にとって今できる最善のことを考えて、私たちは計画策定を行っていきます。

文化財建造物に関する技術指導・コンサルティング業務
 文化財建造物の耐震補強設計・補強工事や保存活用計画策定を行う業務に対して、文化財を保存するための技術指導やコンサルティングを行います。
 これまでの文化財建造物の耐震補強や保存活用計画策定に関する経験や知識から、文化財的価値を損ねないための保存の考え方や補強の考え方を示し、実際の設計や監理に対して助言や支援を行います。
 また、国の登録有形文化財建造物の国庫補助事業において必要とされる技術的指導を行うこともできます。
一般建築の構造設計監理業務
 一般建築の構造設計監理業務を行います。鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの通常の構造の建築はもちろんのこと、伝統木造建築の新築や移築、改修に伴う構造設計も行います。