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明日は、朝から空港に行く予定なので、見学は最終日である。今日は、車に乗らなくてよいかと思うととても気が楽である。
本日の建築の見学の中心はヴィクトル・オルタ。アール・ヌーボー様式を建築に取り込んだ最初の建築家と言われている。ここブリュッセルにはオルタの作品が多く残っている。
まずはブリュッセル中央駅だが、どうもアール・ヌーボーの趣きではない。オルタが途中でなくなったためなのか、時代としてアール・デコへと移り変わるところなのか。
大聖堂に寄った後、漫画センターへと向かう。この建物は、旧ウォーケーズ百貨店を改修して漫画センターとなっている。エントランス中央の照明やガラス天井の意匠はまさにアール・ヌーボー。階段の手すりや柱頭飾りはその様式のデザインである。これらのデザインは当たり前かもしれないが、デザインは繰り返しが多い。工業化が進んだことも、アール・ヌーボーを建築へ応用することができた大きな理由になるのかもしれない。
その後に楽器博物館に。これも旧百貨店のようである。ここでも柱頭、手すり、そしてエレベーター周り、外部の装飾などに見られる。これらの造作材は鋳鉄で作られているからか、近くでみると案外と繊細ではない。遠くから眺めるほうがよいものだと分かった。
そのあとは、ブリュッセル美術館に。ブリュッセルだけに初期フランドル派の絵画が多くあり、初めてどんな絵をさして言うのかが分かった。文言として聞いたことがあっても、まったく内容が分かっていないものがたくさんあるものだと思う。
また海外の美術館は、フラッシュさえ使わなければ、携帯での撮影も可としている。日本ではあまり見られないように思う。確かに絵に悪影響を及ぼす行為ではないのだから、写真ぐらいは認めて楽しむことは問題ないように思うが。日本は重要な絵にはガラスで保護されているために反射して見にくいし、いろいろ過保護なのかもしれない。
オルタ自邸は工事中で外観はまったく見えなかった。内部はまさにアール・ヌーボー。階段から手すりから家具から。住宅は木材をふんだんに使っており、こちらの表現はとても繊細。部屋ごとで見せ方も違うので、住宅のような小規模建築の方が豊かなのかもしれない。ここは自邸兼仕事場でもあるので、宣伝用に特にそうなのかもしれないが。しかし、見るのはともかく住むのはどうなんだろう?
この旅行での建築の見学は、これで打ち止め。あとは、お土産を買いに走った。ベルギーと言えばチョコレート。日本でも有名なゴディバをはじめ、現地で有名とされていそうな大きく高そうなお店から、町のチョコレート屋みたいなところまで、数多くの店がある。とりあえず買わないと、ということでがんばって買っていたが、実は空港で買えばよかったことに最後に気づく。ブリュッセルの空港は、世界一チョコレートが売れる場所だそうだ。ここで買えばよかった。ベルギーでのワッフルとは、いわゆるワッフル構造のスポンジだけではなく、クリームを大量に載せて食べるものらしい。とてもひとりでは食べられそうもなく、挑戦できなかった。
ベルギー最後の夕食は、海鮮がいいかと思いお店で頼むが、エビしかないと言われる。それも名物の小エビではなく大きなエビである。これはこれでおいしいのだが、最後にしては迫力に欠ける。そこでエビだけ食べて仕切り直し。結局は、ソーセージを食べることになった。
このお店もよく見れば入口の庇やファサード、内装もみなアール・ヌーボー。町全体に自然に建築様式が溶け込んでいる。