みなさま、こんにちは。
文化財構造計画の冨永です。
これまでは固い話が多かったので、今回は少し柔らかい話題をお届けしたいと思います。
4年ほど前にお台場に実物大のガンダムができるということで話題になりました。建築の構造技術者として気になるのは、「お台場のような地盤の悪いところにガンダムは本当に立てるのだろうか」ということです。こんなの全くどうでもよいことなんですけどね。でも気になりますので、あえて検討してみましょう。
ガンダムのスペックとしては、身長18m、重量43.4tです。人間の10倍くらいの大きさですね。接地で重要なのが足のサイズですが、図面から計測すると、およそ長さ5m×幅2.7mでした。安定を得るために足は人より大分大きいようです。
次に地盤ですが、表層から8mまではだいたいN値5前後の砂もしくはシルト層、8m~18mはN値5以下のシルト層、そこから35mまではN値5~10の砂もしくはシルト層、それ以下はN値60以上の礫層です。N値とは専門的な用語で分かりにくいのですが、簡単に言いますと、海を埋め立てた場所ですので35mまではとても柔らかい地盤であるということです。
それでは計算してみましょう。
ガンダムがまっすぐ立っている状態の接地圧は、体重を足の面積で割って求めます。
43.4t ÷ (5m×2.7m×2)= 1.61 t/m²
地盤の耐力は、ぎりぎり壊れない終局耐力を考えると、約18.0 t/m²になります。
ということは、 接地圧1.61 t/m² < 地耐力18.0 t/m² となり、
ガンダムが立つことは問題なさそうです。
それでは、歩くことはできるでしょうか。
歩くときに片足にかかる力は、体重の1.2倍だそうです。
43.4t ×1.2 ÷(5m×2.7m)= 3.86 t/m²
ということは、 接地圧3.86 t/m² < 地耐力18.0 t/m² となり、
歩くことも可能のようです。意外と大丈夫ですね。
次に走ることはできるでしょうか。
走るときに片足にかかる力は、体重の3倍だそうです。
また、走る場合には足の接地面積は、人間では1/3程度になるそうです。
43.4t ×3 ÷(5m×2.7m÷3)= 28.9 t/m²
ということは、 接地圧28.9 t/m² > 地耐力18.0 t/m² となり、
地面に足がのめり込んでしまいました。走ることは難しそうです。
ベタ足なら走れるかもしれません。
しかし計算してみると、ガンダムって結構軽いんですね。比重も求めてみましょうか。
180cmで70kgの人間の体積が0.07m³なので、18mの人間だとすると、体積は70m³となります。同じ背の人間よりは、体積が大きそうなので、90m³としましょう。
そのときの比重は、
43.4t ÷ 90 m³ = 0.48
となります。
ガンダムは水に浮きますね。
水中戦をしていたような気もしますが・・・
今回は文化財と関係ない話題でした。
ガンダムの実物大模型も50年経てば、登録文化財になるかもしれませんね。
機動戦士ガンダム /地球