みなさま、こんにちは。
文化財構造計画の冨永です。
暑い日が続きますね。外の暑さと冷房の効いている場所との温度差も大きくなるので体調管理がさらに難しいですね。
さて、今回は「文化財愛」というテーマなんですが、この用語は私が考えたのではなく、5年くらい前に元同僚が作り出した(と思われる)言葉です。
当時、巨人軍原辰徳監督の「ジャイアンツ愛」という言葉が流行していましたので、それを受けてのパロディだと思います。用法としては、
「この補強には愛がない。文化財愛が足らん。」
となります。
この「補強に愛がない」という表現は、「その構造補強は文化財のことを十分に配慮していない」ということを意味しています。
文化財の価値を理解し、少しでも保存したいと考えている構造補強の設計と、文化財に意識を払っていない補強の設計では、同じ方針の補強であっても、結果は全く異なってきます。補強の方法、補強の配置、補強の取り付きなど、粘り強く文化財のことを考え続けなければ、文化財にとって良い形は生まれません。
文化財を想い、最後の小さな配慮や工夫まで行う。そのために必要な信念を、彼は「愛」と表現したのでしょう。
また彼は、次のようなことも言っていました。
「どうしても必要ならば部材を傷つけるのは仕方がない。しかし、文化財の痛みを感じてほしい。」
構造補強には文化財を少なからず傷つけることがどうしても生じます。それを当たり前ではなく、痛みと業を背負う覚悟を感じてほしいということなのだと思います。これも「文化財愛」に通じるものですね。
「文化財愛」とは少し気恥ずかしい表現ですが、存外文化財修理に欠かせないものを的確に表しているではないかと思います。
重要文化財 愛珠幼稚園園舎 / 大阪府
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